第5章 三次試験と奇術師
────
次々と組み立てるトランプ。その不安定なそれらは自分をぞくぞくさせるのが分かる。
「おい見ろよアレ…」
「ヒソカじゃねぇか」
「あいつ、受験者の三分の一くらい殺したらしいぜ」
彼らにはこの不安定さもこれから積み立てていくような強さもない。つまらない連中だ。
「あ…ヒソカ!!」
「おいっ!?」
その時、不意に声をかけられ、完成から程遠いところでトランプの山は崩れていった。僕はそれを見ながらぞくぞくとして、余韻に浸った。
「……あ……ごめん。邪魔しちゃった」
「構わないよ♦️これは元々壊すつもりだったから♡それより僕になんのようだい? キルアは一緒じゃないんだね♣️」
目の前で気まずそうな顔をしているのは、アルミだった。彼女とは一次試験以来か。
「あ、うん。キルとは別行動中。なんかゴンたちとボールで遊んでる」
ゴンとボールで…ねぇ。僕はその言葉に脳内で色々再生しながら、彼女の次の言葉を待った。僕も出来るなら交ざりたいなぁと思いながら。
「それで手持ちぶたさになって歩いていたらヒソカが見えて……。そうそう!!ヒソカに聞きたいことがあったんだ!!」
「ボクに答えられることであればなんなりと♡」
僕の言葉に彼女はぱあっと笑顔になった。そうやって彼女が動く度、キルアと同じ銀の髪が波打ってキラキラ光る。まだ発達途中だが、小さくはない胸。さらになんと言っても彼女はゾルディック家の人間だ。能力も未知数で、キルアやゴンの次に美味しそうな果実であることは間違いない。先程よりもぞくぞくとした何かが体を支配するのがわかった。
「………でね、私………ヒソカ?」
おっと、危ない危ない。危うく殺してしまうところだった。なんだっけ?♡と僕は聞いた。
「うん。カタカタさんがどこにいるか知らない?」
………カタカタさん?僕は首を傾げた。一体誰のことを聞いているのか。人探しなら僕よりもゴンたちのほうがより適しているのに。
「だって、携帯の番号を知ってる仲なんでしょ?」
ようやく分かった。彼女はイルミを探しているのだ。僕はおかしくなった。何故なら彼は君らから隠れるために変装しているというのに。