第10章 天空闘技場
「仕事なんて今までしたことなかっただろ。オレが連れ出したから………その罰なのか?ブタく……ミルキの言う事なんて、信じたわけじゃねぇんだけど………でもやっぱり姉貴にも罰がねぇのは…おかしいし…」
膝の上でギュッと握りしめる拳。俯くキル。私は思わず、彼の手を取った。
「違う!! 罰なんかじゃないよ!! これは私の問題なの!!私の呪いを解くための仕事なの!!!!!! だから、キルは悪くなんてない!!!!!!」
なんて言えるわけもなく………私は言葉を飲み込んで首を振った。
「違うよ。この仕事はね、断ることもできたの。でもね、私ってほら、世間知らずで今までいたでしょ? だから、私から頼み込んだの。やりたいって」
キルのてをにぎる力が強くなる。私は続けた。
「それにね、私キルに感謝してるんだよ?キルがあの時誘ってくれなきゃ、わたしは今でも家の中。ゴンともクラピカともレオリオたちとも会うことのないまま、ずっと家でキルの帰りを待ってた」
…そう。あの家の中でずっと…籠の中の鳥のように、閉じこもって……それに満足して……時間切れになるまでそうだったように思う。
「…私ね、今とっても幸せなの。キルがゴンっていう大事な友達が出来て、一緒に切磋琢磨して強くなっていって…それを近くで見れるんだから」
「………姉貴…」
…やっと顔を上げてくれた。私は彼の綺麗な青色の澄んだ目を見て、微笑んだ。
「この旅で、キルが殺し屋以外の道を決めたとしても、私はそれでもいいと思うの。大事なのは、あなたがどの道を選ぶのかってこと。私もキルと一緒に外にでて、色々なことを学んだよ。私は自分の道を決めるために、仕事を受けることを選んだ。だから……応援してくれる?」
すると、キルは目をぱちくりとさせて、そして大きくため息をついた。
「正直、姉貴が仕事とか不安しかねぇけどな。でも、姉貴頑固だから、こうと決めたらテコでも動かねぇもん。だから、応援しねぇわけにはいかねぇだろ」
その後、私たちは久しぶりに沢山話をして、小さな子供のように夜を過ごしたのだった。