第10章 天空闘技場
「「よっしゃ!!俺の勝ち!!!!!!」」
二人は扉が開くのと同時に、すごい勢いで走ってきたのだ。私は飛び込んでくるふたりをなんとか倒れずにキャッチした。
「はぁ!? 何言ってんだよゴン!!俺の方が速かったぜ!!」
「キルアこそ何言ってるの!!俺の方がタッチの差で早くアルミのほうに着いてたよ!!!!」
今度は喧嘩を始める2人。どうやら、どちらが早く通り抜けるか競走してたらしい。
私はチラリとヒソカを見た。トランプのカード、キルたちに見られていないか心配だったからだ。
ヒソカはそんな私に笑いかける。トランプはただのトランプに変わっていた。……いつの間に…さすがヒソカだ。私はほっとして、まだ言い合っている二人に声をかけた。
「どっちも早かったって。それより、ほら。もうすぐ期限の12時だよ。登録しなくていいの?」
「げっ!? まじで!? おいゴン!! 急ぐぞ!!」
慌てて受付へと向かおうとするゴンとキルア。そんな2人に
「200階クラスへようこそ◆洗礼は受けずにすみそうだね」
ヒソカはそう声をかけた。
「だが、纏を覚えたくらいでいい気にならないほうがいい◆念は奥が深い」
ヒソカの言葉に何か感じたのか、警戒する二人。ふと、ヒソカを見ると、ドクロを作って遊んでいた。………遊んでいたは言い過ぎかもしれない。……そう!!ヒソカなりに忠告してくれているのだ。
ゴンたちが洗礼を受けないように、あらかじめ忠告してくれたし……ヒソカはヒソカでゴンやキルのことを気にかけてくれているみたい。………まぁ、楽しみが減らないように…だとは思うんだけど…。
「はっきり言って、今の君と戦う気は全くない◆だが、このクラスで一度でも勝つことができたら……相手になろう◆」
そう言って、ヒソカはスタスタと去っていった。