第10章 天空闘技場
ゴンとキルは、控え室へと急いでしまって、私はウイングさんと二人になった。
「アルミさん…とおっしゃいましたね。あなたは参加しないのですか?」
ウイングさんは私に缶の飲み物を渡しながら聞いた。私はお礼を言い、首を縦に振った。
「キルに止められてしまいまして。危なっかしくてみていられないと」
「そうですか…。勿体ないですね」
私はウイングさんの言葉に笑った。
「そんなことないです。私はあくまでもあの子達の付き添いなので」
と言っても、私よりしっかりしているあの二人に、果たして付き添いなどいるのか……というか、私の方が付き添われているように思う。
しかし、ウイングさんはそうは思わなかったようだ。
「なるほど。確かにあの二人はどこか危なっかしいですからね」
「…危なっかしい…ですか?」
ひいきする訳では無いが、あの二人は強い。さらには、誰にも負けない才能もある。今の段階では勝てない相手はいるだろうが、原石が磨かれるように彼らも磨けば光り輝く将来性を持っている。
「………ええ。そしてあなたもまた私の目から見れば危なっかしいですよ。キルアくんとは違う意味で、です」
その時のウイングさんの目は鋭く、真剣さが伺えた。
「それは…」
一体どういう意味か。そう言おうとした時、アナウンスが流れた。
『キルア様、ズシ様、57階A闘技場へお越し下さい』
「……あぁ、ズシはキルアくんと戦うようですね。お互い健闘をつくしましょう」