第7章 memories

あの日。

クロと椿の様子が変だった。

俺がいればきっと2人が揉めることはない。



でも、このままなのは良くないと思った。


だから、買い物って嘘をついて先に帰ってきた。


バレバレの嘘でもなんでもいい。
2人が話す時間が作れるなら。






いつもより早く家に着いたから
ゲームをしてた。つい最近買ったやつ。

いつもなら、だいたいクリアするまでは
ずっとゲームしてるけど



2人の様子が気になった。
今はクロに電話をかけたりlineすることもできないから久しぶりにアルバムを見ようと思った。

いつもなら絶対ゲームしてるのに…




そのアルバムは椿が作ってくれたやつ。

俺と2人は学年が違うから
卒業アルバムにも写真は少ないだろうって言って
2人が中学を卒業するときに貰ったもの。


その1年後に貰った本当の卒業アルバムは
椿に貰った時より全然嬉しくなかった。


3人で写ってる写真がいっぱいあるアルバムは俺にとっての宝物。




ページをめくれば
本当に小さい時の写真もあって少し嫌だった。
でも、大切なもの。



俺とクロがゲームで真剣に戦ってるとこ
これはきっと椿が撮ったやつ。

初めて1人で作ったアップルパイを自慢げに披露する椿。
これはクロが撮ったやつで、
横で俺がアップルパイを黙々と食べてるとこも写ってる。


小さい頃、家で映画を見ながら3人とも寝ちゃった時の写真もある。
椿はポップコーンの袋持ったまま寝てる。


これは俺が中学に上がった時のやつ。クロも椿も既に２年生なのにまるで新入生ですと言わんばかりに入学式の文字の前に堂々と立っている。新入生は俺なのに…


最後のページを見ると制服姿で撮った自撮りだった。

これは椿が撮った。椿は満面の笑み。
クロも楽しそうに笑ってる。俺はちょっと頑張ってピース。

何気ない日常の１枚が最後に載ってた。































やっぱり2人だけじゃ寂しい…





椿がいないと俺も寂しいけど
きっとクロはそれだけじゃないから……