第6章 clover
「木兎さん、後で肉まんとか奢るんで今日は1人で帰ってくれませんか。」
「え!いいけど、なんで!?」
「椿さんに用事があるので、」
「へーーー。分かった。後で絶対奢れよ!!!」
「分かってます。……ありがとうございます。」
「おう!ファイトだ赤葦!!」
「やめてください。本当に余計なお世話です。」
とりあえず、朝一で木兎さんにお願いして
今日の放課後椿さんと2人で帰れるようにする。
今日は部活もオフで、
さっき椿さんに一緒に帰れるよう言っておいた。
あとは伝えるだけ。
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授業はしっかり聞いていたけど、
集中しているかと言われれば言葉を濁すだろう。
「赤葦くん、大丈夫?待った?」
昇降口に小走りで来る貴女は
やっぱり年上には見えなくて、
「いえ、俺も今来たとこなんで。」
「今日は、木兎はいないんだよね?」
「ああ、そうですね。なんか走って先に帰りましたよ。」
「変なの〜。」
クスクス笑う貴女の笑顔はいつも柔らかくて
すごく癒される。
少し歩いたところで
ずっと聞いておきたかったことを聞いてみた。
「椿さん、例の男にはお返事されたんですか?」
「…え?」
固まって戸惑う彼女。
彼女にとってはこの話題は聞かれたくなかったことなのかもしれない。
「まだ、考え中。…でもそろそろ返事しなきゃね。」
「答えは決まってるんですか?」
「……んー。」
と言葉を濁しながら彼女は、俺の少し前を歩いていた。