第6章 clover
「椿一緒に帰ろうぜ!」
「あ、うん、ちょっと待ってて〜」
木兎さんと俺と一緒に帰ると約束した後、
そう言って、学級日誌を持っていく貴方の後ろ姿を見つめながら
なんとなく木兎さんに質問をした。
「椿さんはどんな男性が好きなんでしょうね。」
「何!?遂に惚れたのか!赤葦ぃーーー!!!」
「うるさいですよ、木兎さん。
ただ、気になっただけです。」
「そーなのか?んー、俺は赤葦がぴったりだと思う!!!」
「……何言ってるんですか。」
「なんとなく思っただけだ!」
「そうですか。」
ガラガラッ
「待たせてごめんね!!今準備するから!!」
「いいですよ。ゆっくりで、」
「?……ありがと〜」
「どうかしましたか?」
「あ、いや。なんか赤葦くんが少し笑顔だったような気がしたから……」
「いつもと変わりませんよ。早く準備してください。」
「え?さっきはゆっくりでいいって言ってくれたのにー」
ぶーぶー文句言いながら準備をしてる貴方を見て
自然と頬が緩んだ。
それに、さっき少し笑顔だったのも
木兎さんに変なことを言われたせいだと思う。
帰り道、また木兎さんが寄り道をしている。
クローバーを見つけて「いい事あるかも!」
と、四つ葉を探し始めた。
面倒臭い。
本当に。
「え〜?あるかな?」
でも、貴女が楽しそうに笑うから
それでもいいかななんて思ってしまう。
「ねえねえ!赤葦くん!!」
「なんですか?」
「これあげる!」
そう言って渡されたのは四葉のクローバー。
「ここすごいよ!いっぱいある!幸せのおすそ分け。」
「……ありがとうございます。」
四つ葉のクローバー。
そういえば以前、図書館で試しに読んだ本があった。
花言葉が書かれている本。
そこで四つ葉のクローバーを見つけた。
こんな意味があったのかと驚いたけど、
もう、とうに忘れてしまった。
帰ったら調べてみよう。