第5章 rainy〜及川〜
「岩ちゃんが好き。」
「「…… 。」」
「あーあ!岩ちゃんに取られちゃった。」
いつもより大きな声でそう言った。
知ってる。きっと及川さんは強がってる。
でも、私にはどうすることもできない。
「ねー俺より岩ちゃんのどこがよかったの?」
「え?」
そんなこと言われてもなんて答えていいか分かんない。
「やっぱいいや、俺のいいところ言って!それで許す!」
「えっと、及川さんは…面白くて、主将っぽく無いけど主将に向いてる!」
「最後のって褒めてんだよね⁉︎」
「うん、もちろん!」
思わず笑ってしまった。
こんな簡単に笑顔になれたのは及川さんのおかげだと思う。
こんな風に空気をすぐに変えられるとこが何よりの及川さんのいいところ。
「ありがとう!」
思わず言った言葉。
及川さんは少し驚いてた。
「え⁉︎何かした?」
「ううん!なんでも無い!」
「そろそろ戻るか。」
岩ちゃんが言った。
私はその後をついて行った。
また3人でいられるのかなってワクワクしながら。
今日は笑顔が絶えない1日だった。