第9章 拷問 ~前編~
「尾行に盗聴、通信傍受、あとは現場を押さえるのとか、楽しそう。矢田夏雄の奥さんなんかに仕掛けるのも、一興かな。ふふふ……! 楽しみ! あ、そうだ。まだ、その端末、使える?」
茨木翔から戦利品として奪い取った、携帯端末。意外と便利だし、今回も活躍してくれそうだから、手札として持っておきたいのだ。
「はい。今のところ、問題なく使用できますね。まぁ、いつ契約が切られるか分からない状態ではあるので、あまり過信はできませんが。」
「まぁ、そっか。」
それもそうか。さて、情報が集まってくるのを楽しみに待つとしよう。今回も、どうやって相手に制裁を加えてあげようかな。私は、ただ待つのも勿体無いので、色々と思案しながら待つことにした。
そうやって妄想に耽るのが、私の楽しみになりつつあった。
考えれば考えるほどに興奮して、私の躰は熱くなる。時々我慢が出来なくなっては、ひとりでひっそりと、その熱を逃がす。それがひどく背徳的な気がして、その気分にすら興奮する。それを繰り返す私は、もうおかしいのかもしれない。でも、もう止められない。止まらない。
「はぁ……、はぁ……。ん……っ……!」
セバスチャンが部屋を出てしまえば、あとは、わたしひとり。この思考実験と、併せて行う自慰行為を止められる者は、誰一人として、存在しないのだ。