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ゆりかご 【黒執事 R18‐G】

第7章 凌辱 ~後編~



「わたし、は、た、だ……。しろ、も、とに……。言われた……、だけなの……、に……。」
 消え入りそうな声で、金本マオが何かを呟いた。
「ハァ? 何が?」
 一応、返事ぐらいはしてやることにする。ガールズトークに誘ったのは、私だし。
「それ、に……。アンタを、解雇、したのは……、上司……、じゃない……。」
 だから私には関係ありません、責任はありません、関係ありません、とでも続けるつもりだろうか。でも、その続きは、もう別にどうだって良い。それより、もういい。コイツの相手をしていても、もうこの渇きは抑えられそうにない。セックスと一緒で、雰囲気とか空気感みたいなものとかが大事なのかな。よく分からないけど。
 私は、ナイフを構えて、そのまま金本マオの下腹に突き刺した。位置的には、子宮の辺りだと思う。
 金本マオは、もう余力が残っていなかったのか、最期はほとんど動かず、ぐったりとしていた。

「ねぇ、セバスチャン。コイツ、死に損なう可能性ある?」
 返り血を浴びていることもお構いなしに、私はセバスチャンへと振り返った。
「いえ。あり得ません。現代の医療では、“コレ”は間違いなく、死に至ります。仮に、万が一にも息があったとして、五体満足では生きていられませんよ。まぁ、もう虫の息ですし、お嬢様の心配事は現実になりませんよ。」
 セバスチャンは、私の問いに対して、淡々と回答を述べてくれた。興奮した私に、セバスチャンの抑揚のない声が届く。熱に冒されていた頭に、冷静さが戻ってくるような心地だ。

「帰ろう、セバスチャン。一応、証拠隠滅、お願いしてもいい?」
「お任せください。」

 あとのことはセバスチャンに任せることにした。セバスチャンは、相変わらずテキパキと作業をこなしていく。ひとつひとつの動作に、無駄というモノが全く無い。その様子をぼんやりと見つめながらも、私は飢餓感に耐えていた。分からない。この飢餓感と渇きは、一体どこから来るのか。良心?後悔?――――いや、そんなものは違う。あの時死ぬことだけは、絶対に嫌だった。だから私は後悔なんてしていないし、今更普通の生活に戻りたいなんて、絶対に思わない。だから、きっと、進んだ先にしか、答えは無い。だから私は、止まらない。絶対に、止まらない。


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