第6章 凌辱 ~前編~
エレベーター内には、また別系統の防犯カメラが付いているということだったので、私とセバスチャンは、階段を使って、金本マオの部屋まで移動する。
「金本マオは本日、7時過ぎに帰宅しています。調べた時点では、今夜は特に予定も無いようです。」
「ってコトは、もう帰宅してるってことか……。」
「その可能性が高いですね。まだ、就寝してはいないでしょうが。」
「うん……。」
明日も平日だということを考慮すれば、室内にいる可能性が非常に高い。加えて、今は夜の10時だ。こんな時間から、女性が単独で外出するというのは考えにくい。
「その鍵で、玄関も開錠できるはずですよ。」
「ありがとう。」
小さな声で、セバスチャンに礼を言う。
さて、私が此処へ来た目的は、今度は自分の手で相手を犯すことだ。そして、出来ることなら情報収集も出来れば、それに越したことは無い。あとは……いや、これ以上廊下という共用スペースに留まり続けてはダメだ。誰が来るかも分からないのだから。私は、自分の鞄の中から手袋を取り出し、手に嵌めた。
「入るよ。」
微かな声で、セバスチャンに合図を送る。セバスチャンは、私と同じように微かな声で、「はい」と返事をした。
鍵を鍵穴に差し込む。鍵は何の抵抗もなく回り、カチャン、と鍵が開く感触がした。
「……。」
無言のまま、玄関から侵入する。後ろ手で、内側から鍵をかけることも忘れない。チェーンロックが外れていたが、掛けておくことにした。絶対に逃がさない。