第6章 凌辱 ~前編~
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それから、約1週間が経った。
大きめのショルダーバッグに、切れ味の良さそうなナイフと、カッターナイフに、手袋、バスタオル。ビニール袋なんかも入れておかないと。あと、忘れちゃいけない、予備のナイフと、着替え。
「キリエお嬢様、ご準備は整いましたか?既に、下へタクシーを待たせています。」
「あ、すぐ行く!お金は……、セバスチャンが持ってくれてる?私は持って行かなくて大丈夫?」
「勿論ですよ。とりあえず、現金20万円をお持ちしております。」
「あ、うん。それだけあれば充分過ぎるね。んじゃ、行こっか。」
セバスチャンと一緒に、タクシーへ乗り込み、金本マオの自宅の方向へ、車を発進させる。
「B駅まででお願いします。」
本当は、歩くのも面倒だし、金本マオの自宅前までタクシーを使いたかったのだが、流石に足がついてはいけないので、やめておいた。それでも、B駅から金本マオの自宅までは、せいぜい十数分。軽い準備運動だと思って、歩こう。