第3章 快復
***
穏やかに、数週間が過ぎた。でも、困ったことに、生きていくうえで根本的な問題が解決していない。そう。お金が―――――、生活費がそろそろ底を尽きる頃だ。私の口座から、公共料金や諸々の経費が間違いなく引き落とされているはずなので、もはや間違いなく私の預金残高はゼロに近いだろう。セバスチャンが買い出しに行ってくれているお金も、私の口座から引かれているとすれば、ほぼ間違いなく既に底をついている状況だろう。水道や電気がまだギリギリ止められていないのが、救いとすら言える。このままだと、確実にライフラインが断たれてしまう。
体調面の問題も解決してきているのだから、バイトぐらいは探さないとまずいかな。お金が無ければ、近い将来、この部屋も追い出されてしまう。住む場所だって、吸う空気だって、金の無い人間には、はじめから分配されない。世の中は平等だというのが、この社会で広く信奉されているスローガンだ。でもそれは、同じだけお金を持っている人間同士が平等というだけだ。教科書には、そういうことが載っていないが、残念ながら世の中はそういう仕組みだ。
私は、どうするべきなのか、しばらく考えていた。