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ゆりかご 【黒執事 R18‐G】

第3章 快復


 セバスチャンに尋ねてみないと、分からない事だらけだ。
「おや、何か考え事ですか?」
 セバスチャンは、いつの間にか洗い物を終えて、戻ってきていたらしい。ちょうどいいので、質問してみよう。
「ねぇ、訊きたいことがあるんだけど。」
「えぇ。何なりと。」
 カラス姿のセバスチャンが、床へと舞い降りた。
「『悪魔』って何?」
「あぁ。そう言えば、説明が遅れていましたね。簡単に言えば、人間の魂を喰らう者の総称、といったところでしょうか。」
 ざっくりとした簡単な回答だったけれど、よくよく考えてみれば、すごい内容だ。
「魂を、喰らう……?」
「えぇ。人間が生存を目的として食物を摂取しているように、『悪魔』もまた、人間の魂を糧としています。」
「……。」
 つまり、私の目の前にいるセバスチャンは、我々人間を「捕食」するもの、ということになる。そうなると、当然のことながら、今私がここにいることは、非常に危険という事になる。
「ご安心ください。『契約』が果たされるまで、お嬢様の魂をいただく事は致しません。」
 セバスチャンは、妖艶な響きを纏わせながら、そう言った。
「『契約』……?」
「えぇ。『契約』です。貴女を死の淵にまで追い込んだ者に復讐する、というのが貴女と私の間で結ばれた『契約』です。その契約を全うするまで、私は貴女の魂には指一本として触れません。ですが、『契約』が果たされた時には、『契約』の対価として、貴女の魂をいただきます。」
 つまり、私が復讐を完了させるまでは、私の身の安全は保証される、ということか。
「『契約』が果たされるように、私は貴女の手足となって働きますし、貴女に危害が加えられる場合には、貴女の盾となります。どのようなご命令にも従います。例えば……、目の前の人間を殺せと言われれば、その通りにして御覧に入れましょう。」
 その言葉には、きっと嘘偽りなど無いのだろう。何となくだけれど、そう直感した。でも、それほどの力があるのであれば、そもそも「獲物」であるところの「人間」と契約する必要など、どこにあるのだろうか?
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