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ゆりかご 【黒執事 R18‐G】

第2章 契約 ~後編~


***


 どれぐらいの時間が経ったのかも分からないけれど、私が目を閉じる前は夜だったのに、今はカーテンの隙間から夕陽が漏れている。ひどく長い時間を、眠っていた気がする。食欲は、相変わらず湧かないが、ここ数日はそれが特にひどい。水分だけは、辛うじて摂取しているが、あまり飲み過ぎると、気分が悪くなる。だからやっぱり、最低限のみ。

 ふと、部屋の片隅にあるパソコンが目に入った。半年以上も前―――――元気な時には、パソコンでいろいろなサイトをみたり、ネットで話をしたりして、楽しく過ごしたこともあったっけ。ちょっとした悩み事なんかを、ネットで相談するのだって、面白かったっけ。でも、今は、そんな気も起きない。相談したところで、もう手遅れだ。私はもう、袋小路。ここで次第に餓死していくのを、じっと待つぐらいしか、出来ることが無い。残されていない。

「……。」

 なんとなく、パソコンを立ち上げてみた。起動画面からパスワードを入力して、デスクトップ画面を立ち上げる。久し振りに、ネットを見るのも悪くないかなぁなんて思って操作してみたが、画面に表示されたのは、『ネットワークに接続できません』の文字だった。動きの悪い頭で、原因を探ってみたが、分からない。そのまま、数十分が流れた。ようやく、契約が切れていたことを思い出した。ネット回線契約の更新をしなければならなったのに、私はそれを放置していたのだった。それにしても、その事実に思い至るまでに数十分の時間を要するとは、私のアタマは、いよいよだ。

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