第2章 契約 ~後編~
――――――許せない。
――――――殺してやる。
私の脳に浮かんだのは、この2つだった。このまま私は、このオカシイ頭をこじらせた挙げ句、この荒れた部屋の中で奇行に走り出すか、金が尽きて餓死するかだ。それならいっそ、私を追い込んだあいつ等を殺して、私も死ぬ。でも、それだけの力は、私には無い。思えば、この半年で随分と痩せたような気がする。ぼんやりとしか動かなくなった、錆び付いた頭で、何とか思考する。あぁ、もし、例えばあの男を殺しに行ったところで、真っ直ぐに歩くこともままならない私は、残念ながら返り討ちに遭って終わりだろう。……。……、………………。ここまで考えて、私はふぅ、と重い息を吐いた。久し振りに、長いこと、物事を考えた気がする。ひどく疲れた。
そのまま、ゆっくりと目を閉じて、眠りにつこうとした。
眠りに落ちる前に、ふと思った。
一生懸命に、真面目に、コツコツとやっていく人間が救われるだなんて、所詮は嘘っぱちだ。現実は、正直に、地道に努力を積み上げている人間こそ、馬鹿をみることになっているのだ。どうして、私はそんなことにも気が付かなかったのだろう。私は真性の阿呆だ。あぁ、もう、はっきりと言葉にして認識し直そう。
――――――この世には、神様も仏様もいない。