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ゆりかご 【黒執事 R18‐G】

第11章 羽化


「……無駄ですよ。愚かですね。」
 セバスチャンは、冷え切った眼差しを、私に向けてきた。
「なっ、え……?」
 無い。痛みすら、感じない。それどころか、血の一滴すらも、流れてこない。恐る恐るナイフを抜いてみても、結果は同じ。開いた傷口から、黄土色の臓器が見えただけだった。その臓器も、全く動いていない。これじゃあ、ゴムか何かが詰まっているのと同じじゃない……!

「アナタとの契約は、既に切れています。……アナタの魂が、食べられない何かに変質した時点でね。私は悪魔ですので、次の契約者を探さなければなりません。それでは、さようなら。」
「まっ……!」
 待って、と言おうとしたが、それはできなかった。
 セバスチャンは、夕陽が落ち、迫ってきた夕闇の中に溶けるようにして、消えていった。

 残された私は、その場に座り込んでいることしか、出来なかった。




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