第11章 羽化
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結局、炎は何時間も経って、やっとのことで消し止められた。特殊装備をめいっぱい搭載した、私が見たことのない消防車が何台もやってきて、やっと鎮火されたのだった。
無論、この数時間の間、ずっと紅茶を飲んで眺めていたワケではない。時間を有効活用すべく、その時間に、私が分かる範囲で、職場の人間の家を次々と燃やしておいた。……私が殺した金本マオの家も、城本美沙の家も、矢田夏雄の家も。でも、彼らにとっては幸せかもしれない。もしも、天国だか地獄だかがあるのならば、そこで再開できるかも知れないのだから。……まぁ、私としては、未来永劫、あの炎の中で苦しみ続けてほしいけれど。
「はは……、あははは……。」
辺りに、私の乾いた声が響いた。