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ゆりかご 【黒執事 R18‐G】

第10章 拷問 ~後編~



「……。」

 セバスチャンが、何も言わず、私をじっと見ていることに、ふと気が付いた。

「どうしたの? セバスチャン……。」
 セバスチャンが、何も言わず、意味ありげな視線を送ってくるなんて、今までにあっただろうか。あったのかもしれないけれど、それは、珍しいことのような気がする。

「いえ。何も……。」
 そう言って、セバスチャンは、すうっと目を細めた。なんだろう、この感じ。背中が、ゾクリとした。悪寒が走る、という感じに、近いかもしれない。恐怖とも違う、不快感とも違う、不思議な感覚。まぁいい。私はあと少しで、セバスチャンに魂を食べられるだけの存在なのだから。

「明日は、感動の再開だね。私も、楽しみで楽しみで……!」
 そう。私に残されているのは、この刹那的で、深く激しい快楽を得ることだけ。残り滓まで、味わってやるんだから。

 私は帰りの車の中、そんなことを考えていた。


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