第9章 拷問 ~前編~
「夜だけどおはよう、城本美沙ちゃん。私の事、覚えてる? 今日から、私が城本美沙ちゃんのご主人様ですよ。 矢田夏雄は、まぁ、死んだとでも思ってね?」
「……! ん、んぐ……!?」
猿轡がはめられているからか、ちゃんとお喋りできないみたい。でも、その眼に滲んでいるのは、「恐怖」だけじゃない。私の姿しか見えないからか、明らかに「反抗」の色が滲んでいた。その事実さえも、私を興奮させるだなんて知ったら、城本美沙ちゃんはどう思うだろう? 今は、両手両足を適当に縄で拘束しているのだけれど、縛り方にも工夫が必要かもしれない。
「……っ、ん……。城本美沙ちゃん。えっと……、私のことは、これから、『ご主人様』って、呼んでね? 私、城本美沙ちゃんみたいな可愛いペットが飼えて、幸せ。 ね? ちょっとの間だけど、楽しく過ごそうね?」
私は、何とか興奮を鎮めながら、城本美沙ちゃんに話し掛けた。城本美沙ちゃんは薄着で、可愛いフリルの付いた部屋着を着ていて、それもとっても可愛かった。可愛い女の子は、誰も見ていないときだって、こんな風に可愛くして過ごしているから、可愛いオーラも出るのかな。でも、それだってもう、私の手の中。私がちょっと、きゅって手を握れば、潰れて死んじゃう。たとえるのなら、可愛い芋虫さん。手の平に乗るサイズの、かわいいマスコットみたいなもの。
私はこんなにも、城本美沙ちゃんのことをかわいいなぁって思っているのに、城本美沙ちゃんは、私を睨み付けてくる。……、生意気。まぁ、そこも可愛いのかもしれないけど、度が過ぎれば、ダメだ。ここは、初回の躾タイムかな?
「えっと……、これからは、美沙ちゃんって呼ぶね。その方が呼びやすいし。これから、ちょっとだけ、痛いことするね。大丈夫。加減はするから。」
そう言って私は、鞄から鞭を取り出して、服の上から適当に打つことにした。
最初は、痛みを堪えていたらしい美沙ちゃんも、何発か打たれると、苦しそうに声を漏らした。
その声に酷く興奮したけれど、ここはまだ、我慢、我慢。ちなみに、この鞭打ちの一部始終は、セバスチャンに撮影してもらった。セバスチャンは、鞭で打たれる美沙ちゃんの様子を、矢田夏雄に送信してくれた。なんて気が利く執事さんなのでしょう……!