第1章 契約 ~前編~
あぁ、私は、私は―――――――
私は、限界です―――――――
この世に、神も仏もあったもんじゃない。
ねぇ、誰だったっけ?
辛いことでも、ぐっと耐えていれば、我慢していれば、いつかは幸せになれるなんて言った――――――――。
もう、辛いことばっかり、あり過ぎて、私は、おかしくなったんだ―――――?
指先の感覚がよく分からないが、携帯電話が、私の手から落ちてしまったようだ。乾いた音が、遠くで聞こえた気がした。
「ぁ、あ、ぁぁぁぁぁ、あ…………、あ、ぁぁぁぁ……?」
もう、泣くだけのエネルギーすら、私には残っていない。
あぁ、そうだ。
あぁ、そうだ。明日、あした……、職場を辞めて、自殺しよう。
私はこのとき、私の中の何かを、落としてしまったのだと思う。