第15章 ・牛島兄妹、双子と邂逅　その3

「仕掛け全部埋まったっ。」

騒ぐ侑に対し、文緒は澄ました顔で黙々と追撃の準備をしている。

「えぐ。」

観戦している治がそう漏らすのも無理はあるまい。

「すぐには負けへんやろけど流石にあれは掘り下げんと無理やな。」
「文緒の追撃が早いか、お前の片割れの復活が早いか見ものだな。」
「嫁は追撃用もえらい積み込みだしてるし、あーあ。」
「まだ嫁じゃない。」
「ほんま何でアラン君も北さんもおらん時に限って。」
「おっしゃ、大分掘ったでっ。」
「何て事、急がないといけませんね。」
「ちょ、ポロポロ妨害のやつ降らすなやっ。」
「申し訳ありません、フィールドが余ったブロックだらけで。」
「おいツム、はよせんとごっつい追撃来るで。」
「うっさい、わかってんねんっ。ああーっ、隙間に妨害落ちてきよったああああっ。」
「数少ないと降る場所がランダムなのはゲームセンターのも同じなんですね。」
「お澄まし顔でほんまにこいつ。」
「やっと揃ったっ、点火っ。」
「なぬっ。」

侑が叫んだ瞬間、また文緒のフィールドでブロックが弾けていく。1回、2回、3回、連鎖数は少ない。
しかし

「ひっど。」

治が呟いた。

「3連鎖目で3色同時消し、おまけにどれも6個くらいひっついとう。」
「アカーンッ。」

侑のフィールドでドーンという効果音が響き、大量の妨害ブロックが降り注ぐ。健闘むなしくどこにも隙間がなくなって侑のフィールドの底が抜けるアニメーションが入った後、文緒側のフィールドにはWIN、侑側のフィールドにはLOSEの表示が踊った。

「やったっ。」

文緒は素直に喜んで両手をパチパチさせている。五色あたりがこれを見たら密かに喜んだかもしれない。
一方まさかの事態に宮侑は動揺したらしい。

「ちょおっ、牛島君どないなってんのっ。」

ババッと振り向くが勿論動じる若利ではない。

「苦情は受け付けないと言ったはずだが。」
「文緒ちゃんがここまでえぐいて誰が思うねんっ。」
「心外です、思うより全然操作出来ていないのに。」
「いや自分、それ絶対嘘やろ。」

治に突っ込まれるが文緒は首を傾げる。