第14章 ・牛島兄妹、双子と邂逅 その2
「兄様、まるで私が素行の悪い娘のように聞こえます。」
「そうじゃない。が、お前にゲームをさせると大抵妙な事になる。」
「またまたー、牛島君て嫁の事になるとえらい大袈裟ちゃいます。」
「宮侑、ではその目で確かめることだ。」
「って、旦那が言うとるけど。」
サムの方に聞かれて文緒は困りましたね、と呟いた。
「私は妙な事を引き起こしたつもりはないのですが。」
「ふーん。」
「宮治、お前もだ。今一度言うが苦情は受け付けない。」
「ごっつい念押し来た。」
「ほんで文緒ちゃん、どれやりたいん。」
「選んでいいのですか、恐れ入ります。」
侑に言われて文緒は照明的にも音響的にも賑やかなざっと店内を見渡す。すると見覚えのあるロゴがついた筐体が目に入った。
「あれがいいです。」
宮兄弟はおおー、と声を上げる。
「文緒ちゃん、あれやるん。」
わくわくした様子で侑が言う。
「ゲームセンターの機械でやるのは初めてですが。」
「意外やな。」
治が言う一方、若利は眉根が寄っていた。
「あれか。」
若利の呟く意味など勿論宮兄弟は知らないし、文緒は知っているゲームがあったとそっちの喜びに気を取られている。
「お、誰も並んでへんぞ今のうち、はよ行くでっ。」
「でっかいガキがおるわ。」
「お前に言われたないわっ。文緒ちゃんも行くでー。」
「あ、あの」
「勝手に文緒の手を取るのは困る。」
波乱の幕開けだった。
次章に続く