• テキストサイズ

【ハイキュー】ウシワカイモウト第三部

第14章 ・牛島兄妹、双子と邂逅 その2


腰を浮かせていた宮兄弟がハタと気がついて再び席に着く。

「あーびっくりしたぁ。」

早速ツムの方が大きく息をつきながら言った。

「まさか牛島君にこない突っ込むって思わんかった。」
「心臓に悪いわ。」

サムの方も言ってずずっとジュースをすする。

「随分な言われようだ。」

納得しかねているのを隠しもせず若利は呟いた。

「少し前まで理解していなかった俺が言うのも何だが、兄が妹を気にかけるのは当然だろう。」
「いやそういう問題ちゃいますって。」
「ツムに突っ込まれるて相当の事態やな。イテッ、蹴んなやボケッ。」
「失礼な事言うなや阿呆サム、印象悪いやろ。」

生憎だが何度もロリ呼ばわりされた為、既に文緒の宮兄弟に対する印象はあまりよろしくない。
とはいえまさかそれを口にする訳には行かないので文緒は素知らぬ顔をしてまた甘味を一口運ぶ。
しばし3人の間には沈黙が流れ、そのテーブルではジュースをすする音やフードや甘味を食する音だけが響いた。

「あの」

やがて沈黙を破ったのは文緒だった。

「いかがなされましたか。」

いつの間にやらツムの方がニィッと笑ってテーブルに突っ伏した姿勢で文緒を凝視している。

「なぁ」

ツムは言った。

「ほんまに自分、牛島君の妹。」

ああ来たなと文緒は思う。

「あらどうしてでしょう。」

いつものパターンだとわかっている癖に文緒はわざと聞き返した。
散々ロリ呼ばわりされたので少しくらいは良いだろうと思う。
察したのかツムの方は笑顔が少し痙攣(けいれん)する。こいつ、と言いたげだが文緒はやはり知らない振りをした。
サムの方はおそらく相方の様子に気がついているが見なかった振り、若利は気づいていない。
わずかの間文緒とそんな静かな攻防を繰り広げたところでツムの方はだって、と話を続けた。

「全然顔似てへんやん。」

ほらやっぱりと文緒は思いながらもああ、と微笑むのみ。

「そう思うのも無理はない。」

ここで何も考えていない様子の若利が口を挟んだ。

「少し前までは妹ではなかった。」
/ 96ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp