第13章 ・牛島兄妹、双子と邂逅 その1
また人前で何てことを言い出すのかと文緒は義兄に抗議の声を上げるがもうどうしようもない。
今までにも多くの連中が若利の爆弾に被弾したのである、当然宮兄弟がそうならない訳はなかった。
瓜二つの顔で硬直、無言で牛島若利を見つめるばかりの彼らを責めることは出来ない。
「どうした。」
例によって若利は理解していない。文緒はため息を吐いた。
「兄様が恥ずかしい事をおっしゃるのでお二人共びっくりされてます。」
「何も恥ずべきことは言っていない。」
「もしここに瀬見さんがいらっしゃったら所構わず溺愛しているのを振りまくなと仰ると思います。」
「俺は溺愛などしていない。」
「嘘つけやっ。」
ようやく硬直が解けた宮兄弟が綺麗に斉唱する。
周囲の客が一瞬にして一斉にこちらに視線を向けたのは言うまでもない。
次章に続く