第12章 ・保健室での話
「とりあえず文緒っ、大丈夫そうで良かったなっ。」
「ありがとう五色君、でも声大きい。」
「というか若利がまさか保健室凸かますとは思わなかったわ。」
「申し訳ありません、瀬見さん。」
「俺のこた気にすんな。どっちかってぇとそこのシスコンが廊下突進して周りビビらせてた方が問題だ。」
「まあ何て事。」
「怖がらせていたのか。」
「やっぱり気づいてねぇし。」
「牛島さん、流石ですっ。」
「五色君それ褒めてないよ。」
「そーなのかっ。」
「ともかく兄様、ご心配は嬉しいのですがあまり恥ずかしいのはちょっと。」
何となく色々言われてしまっている為若利は思ったままを口にした。
「納得がいかない。」
更に若利が納得がいかない事に、文緒も瀬見も言うと思ったと反応したのだった。
結局そろそろ休み時間が終わりそうな所で養護教諭が戻り、文緒も体調が戻ってきたと1-4の教室に戻る事になった。
「五色、すまないが文緒を頼む。」
「はいっ。」
「マジ無理すんなよ文緒。」
「はい、ありがとうございます。」
「行くぞ文緒っ。」
「う、うん。では兄様また後ほど。」
「ああ。」
「おら工っ、文緒走らすなもっとゆっくり歩けっ。」
ズンズン歩きだす五色を文緒が慌てて追う様子を見て瀬見が声を上げる。
聞こえたのか五色は速さを緩めて文緒と並んで歩き始めた。
「ったくよー」
五色と文緒を見送ってから瀬見は若利をチロリと見た。
「何だって俺は何かにつけてお前の溺愛シーンに付き合わなきゃなんねーんだ。」
若利は首を傾げた。言われている意味がわからない。
「俺は文緒が気がかりだっただけだが。」
「もういい俺が悪かった。」
瀬見にため息をつかれて若利はますます首を傾げるのだった。
次章に続く