第4章 ・人形の家
「東屋でも作るといい。」
天下のウシワカがそんな事を言い出すなど明日は槍が降るだけで済めばよいが。
「それは良いお考えです、廃材などもらえると良いのですが。」
「この家の事だ、何かしら出てくるだろう。」
「ではまたお母様にお伺いします。」
「そうするといい。」
若利は微かに笑った。
そして次の朝である。幸い雨も槍もその他物騒なものも降ってはいない快晴だった。
「おはよう。」
若利が部室のドアを開けると天童が早速おはよー、若利クーンと返してくる。
「写真サンキュねー。数がちっと多かったけど。」
「すまん。まとめ方がわからなかった。」
「若利君らしいけどね。」
「また天童は何企んだんだよ。」
ジトっと見つめる瀬見に天童は失敬ダネと唇を尖らせる。
「文緒ちゃんが人形の家をDIYしてるって聞いたからさ、写真チョーダイって頼んだだけ。」
「文緒が。」
「先日家に帰ったら素麺の箱を改造しようとしていた。そこから少しずつ作っていっていた。」
「またあいつは。たまに妙な事始めるな。」
「この写真なのだがなかなか良くできていると思う。」
「さりげなく親馬鹿発揮してんじゃねーよ。確かに凝ってるとは思うけど。」
「瀬見さん、この場合は兄馬鹿だと思いますっ。」
「いや旦那馬鹿じゃないか。」
「太一、文緒さんは妹だからな。」
「言うだけ無駄だ獅音、実質あいつ若利の嫁だし。」
「今回は俺も山形さんに賛成します。実際牛島さんは嫁にする気ですし。」
「何だってこうなったんだろうな。」
「牛島さん、俺にも見せてくださいっ。」
「ああ。」
「これ時計ですか、文緒が作ったんですか。」
「ああ。」
「てか何で文緒が庭で色塗ってるとこまで写真撮ったんだお前。」
「あまり見ない光景だったのでな、残しておきたいと思った。」
「可愛い顔でこっち向いてまぁ、流石魅惑のロリ。」
「天童さん、文緒にロリは禁句ですっ。後で俺が困りますっ。」
「ロリはロリじゃん。ね、若利君。」
「見た目が幼いのと愛らしいのは確かだ。」
「さらりと惚気ろって話じゃねーよっ。」