第1章 Wake up, Me!!
この唇にやられたんだ。
彩菜とは小学校からの付き合いなのに、なぜかある日急にドキッとして。
何でも無い話をしてる唇から目が離せなくて。
すごく・・・キスしたくなった。
なんでかは本当に分からない。
ただこの、ぷっくりした、肉厚で柔らかそうな、綺麗な曲線を描く唇に見とれた。
途端に彩菜が可愛くてたまらなくなった。
守ってあげたいとか、抱きしめたいとか、エロい男子かよってぐらい変な事ばっかり頭に浮かんだ。
一晩寝て起きても変わらない気持ちに混乱した。
あたしだってかつては好きな男子の1人や2人いたってのに。
ネットで「女の子同士 好き」とかで検索して、いろいろ調べた。
そうしたら「一過性のものがほとんど」とか出て来て、どの人も割とそういう気持ちになった事があるのを知った。
それを見たら安心しちゃって「じゃああたしもきっと勘違いなんだ。」って、案外素直に今の気持ちを受け入れてしまった。
きっとそのうち目が覚めて、誰か素敵な男子を好きになるんだろう。
だから無理して「好きなんかじゃない!」って、今の気持ちを否定しなくてもいい。
とりあえず周りにバレなければ大丈夫。
これ以上進む必要なんてどこにもないんだ。
だってただの勘違いなんだもん。