第1章 Wake up, Me!!
「はい、遥の分。」
「ありがと。」
フードコートの机の向かいでプリクラを切っていた彩菜から、あたしの分を受け取る。
「それにしても遥、ホントに男子みたいだね。」
「えー?そう?」
確かにあたしにはクロスジェンダーなところがある。
制服以外でスカートははかない、少女漫画も読まない、喧嘩だって男子に負けない。
でも別に性同一性障害とかではない。
男だったらよかったなって思う事もあるけど、女であることが嫌ってわけじゃない。
ピンクの小物だって持ってるし、ドレスなんかに憧れもする。
ただちょっと、キャラじゃないだけ。
「遥って写真写りいいよねー。」
プリクラを見ながら彩菜がオレンジジュースをストローで飲む。
「そんな事無いよー。」
あたしはプリクラを見ているふりをして彩菜の唇を盗み見た。