第1章 体温で溶ける恋の味
翌日、バレンタインデー当日。
普段通りに登校して、教室に入る。
同じクラスの我が幼馴染みは、すでに女の子に囲まれていた。
私に対する反応と違って、嫌な顔1つせずに色々と受け取っている。
甘いもの苦手なクセに、断ったら空気が悪くなるのを分かって、1人1人に丁寧な対応をしていた。
腹は立っても、ただの幼馴染みポジションの私が何か言える訳もなく。
休み時間の度に増えるチョコを忌々しく思っていた。
家だと、あまりにもいつも通りで。
幼馴染みとしての義理だと思われたくなくて、学校まで持ってきたチョコレートは、やっぱり今年も渡せないまま。
本日の授業は終了して、下校の時間。
先に帰るなら持って帰って、なんて強引に紙袋に入った大量のチョコやらプレゼントやらを京治から持たされる始末。
最早、幼馴染みどころか、ただの荷物持ち。
完全に女として見られていないのを実感しながら帰る足取りは重かった。