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君と私と(非)日常

第32章 最後の一欠片


151日目。
俺たちは砂浜に集められ、各々で修学旅行の終わりをしみじみ実感しあう。
ここにいる全員と親睦を深め合った。だけど、その関係はこれっきりじゃないはずだ。
この島から出て、また日常に戻っても……俺たちはずっと大切な存在でいられる。
そんな確信が、俺の胸にあった。



出発する前に、もう少し話しておきたいな……。
浜辺に佇んだまま、監視カメラを見ている希灯に話し掛けた。
「希灯」
『ああ、日向くん。……長かったけど、これでようやく終わるんだね。』
潮風に靡く髪を耳にかけながら、希灯がそう呟く。
「何だかんだお前と過ごした時間がぶっちぎりで多かったな」
『そうだね。ごめんね、すごく時間がかかっちゃった。』
「希灯のせいじゃないさ。俺の認識が駄目だった……だからこそ、お前に改めるって宣言した瞬間にカケラが埋まったんだ」
本当の意味では相手を思いやれていなかった。
無意識でも、希灯を最後の1パーツとしてしか見ていなかった自分が恥ずかしい。
もう埋めるカケラはないけど、それでも俺はこれからの希灯との時間を真剣に扱いたい。
『だとしても……日向くんは悪くないよ。希望のカケラを埋めるために一生懸命色々してくれたよね?。むしろ、私の方が……ここから出たら、きっと……。』
希灯の言葉尻が急に悪くなった。
まるで大きな不安を抱えているような、叱られることを予見している粗相した子供のような挙動だった。
「大丈夫だ。俺がついてる」
何かに怯える希灯の手にそっと手を伸ばす。
『……?。ふふ……日向くんって、恋人繋ぎ好きだよね。』
「嫌か?」
『うーん。こないだよりは、いいかも。』
絡んだ指を見ながら、希灯が困ったように笑った。
……しっかりと手を繋ぐ。
希灯との未来を一緒に歩むために。
繋いだこの手こそがきっと、俺にとっての"希望"の象徴だから……。
何とも言えないあたたかな想いが俺の胸を満たしていた。









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