第32章 最後の一欠片
朝のウサミのアナウンスを聞いてレストランへ向かう途中、俺はプールサイドで希灯と出くわした。
『おはよう、日向くん。』
「おはよう。……今日こそ埋まるといいな?」
『そうだね……。』
気まずげに頷き合う。
修学旅行143日目。島生活は依然として終わらない。
希望のカケラを全員が全て埋められればクリアとなり、ジャバウォック島での修学旅行は終わる……はずだ。
俺と希灯の最後の1つがまだ埋まっていない。
ラストの1ピースが何をどうしても頑なに埋まらない。
希灯も俺も他のメンバーとは順調にカケラを全て埋め、互いのカケラも5個目までは何事もなく貯まっていった。
けれど最後の最後で進展せず、かれこれ50日間は俺は希灯と希望のカケラを埋めることに専念している。
自由時間もおでかけチケットも、希灯は俺との交流のためにしか消費できていない。
「せめて原因さえ判明すればな。みんなのためにも早く埋めないといけないのに」
『このままじゃ……永遠に終わらないもんね。』
レストランで向かい合いながら朝食を摂る。
他のメンバーたちは表面上島生活を楽しんではいるものの、俺と希灯の希望のカケラが埋まらずいつまでも修学旅行を終えられないでいる状況にヤキモキしてるはずだ。
何でもいいから早く終わらせないと。
焦るものの、日々ばかりが虚しく過ぎ去っていく。
その日の課題の資源集めや掃除が終わった後、俺も希灯もやや疲れた表情でいつものように集合した。
『今日はどこ行こっか。』
「映画……は散々観たよな。遊園地も昨日行ったばっかだし……」
もうこの島の全ての場所を希灯と過ごしてしまった。 話せる過去も気持ちも、全部出し尽くした。
どん詰まりのなか何か提案しようと顎に手を当てる。
『……もしかしたらさ、マンネリがダメなのかも。いっそさ、2人だけじゃなくて、全員で遊んでみない?。』
控えめな様子で希灯がそう言う。