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君と私と(非)日常

第2章 はい、アーン。


「希灯さん……まさかボクの要望を叶えてくれるんですか……?!」
『うん。そういうこと。で、どこにあるの?。』
キーボくんが左胸の所を手で隠して、顔を赤らめた。
「な……なんだか恥ずかしいです。博士にしか見せたことない場所なので……」
生娘のような反応を見せながらキーボくんはそっと左胸のポケットのようなデザインになっている蓋を開ける。
『へぇ、こんな感じになってるんだ。』
持っている充電コードとは逆の凹凸がある。
挿入れる時はピッタリに合わせないと駄目みたい。
「あの……そんなにまじまじと見つめないでください。恥ずかしい……」
『ごめんね。じゃあ、さっそく始めようか。』
挿入口の向きをよく確認してから構える。
「どうぞ、来てください……!」
『遠慮なくいかせてもらうよ。』
お互いに無駄に緊張しながら見つめ合う。
『はい、アーン……!。』
ズズッと擦れながら挿入部分がキーボくんの中へ入っていく。
根本まで一直線に押し込むと、少し入れ方が激しかったらしくキーボくんは体をビクッとさせた。
『…………どうかな?。』
「おっ……奥までちゃんと入ってます………!」
『うん。それなら良かった。』
内心「なんだこれ……」と思いながら手を放す。
でも人間にしたって同じ事。私の場合、相手がロボットってだけでやってることはほぼ変わらない。
「ありがとうございます……充電という行為に付いてくる結果はいつもと同じになるでしょうが、希灯さんが入れてくれたので明日はきっと素敵な気分で過ごせると思います」
『うん。キーボくんこそ、私の気持ちを受け取ってくれてありがとう。』
それからもう少し会話を続けてから、私は食堂を片付けに戻った。
今日はとっても距離を縮められた気がする。
泡まみれのシンクで皿を洗いながら、私は幸せな気持ちで密かに笑った。




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