第57章 忘却の輪舞
「にいにって、何だよ」
その様子を見ていた幸村は、単純な質問を佐助に投げ掛ける
「彼女の意識が、現在六歳位のモノだって話はしたよな?幸」
三人は押し黙ったまま
佐助の言葉に耳を傾ける
「僕と彼女は子供の頃からの付き合いなんです。僕よりも年下の彼女は、その当時僕の事をにいにって、呼んでました。知らない場所での知らない人に囲まれてしまった戸惑い、子供の頃の俺の面影、ま、実際それは僕ですから、間違いでは無いんですけど」
佐助が三人の様子を伺い見ながら
皆に異論が無いかを確認しつつ言葉を綴る
「ややこしい話ですが多分、リオさんの中で、当時の佐助の面影を宿した僕は、その彼の兄的な存在で、近しく頼れる人って、認識だと思います」
「にいにの兄ちゃんって事か」
「そのとおりだ、幸」