第56章 Two sides of the same coin 5
ふぅっと1つため息をつき
色んな事に意識を巡らせながら
城の中を歩いていれば
リオの部屋の襖が開き、中から彼女が姿を現した。
廊下を歩いている俺に気がつき
「あ、家康」
ぱっと笑顔になり駆け寄って来る。
何だかすっきりした顔してる気がするけど......
色んな意味で。
「二日間どこ行ってたの?」
十中八九光秀さんと一緒に居たんだろうけど。
分かりきった質問を投げかけると
照れくさそうに、頬を赤らめ
嬉しそうに口許を緩ませるリオ
やっぱり....
はぁっと1つため息をつき
「言わなくても良いや。想像出来た」
何でも顔に出るんだから、この子。
良かったね、と思う反面
少し面白くもない
この時ふと、あの書庫でのリオの姿が、頭を過る
忘れろなんて、無理な話
光秀さんならもしかしたら.......
「ねぇリオ」
立ち止まり彼女の名前を呼ぶと
何?とでも言う様に、俺を見上げてくる
その彼女を見つめながら
「.....可愛くおねだり出来たの?」
そっと呟くように問いかけた。
瞬間、ぴくんと体を一度揺らし
瞳を大きく見開き
彼女の動きが止まった