第53章 Two sides of the same coin
予想以上に早く仕事が終わったのは
いや、正確に言えば終わらせたのは
二日と空けず、リオの元に
帰りつきたかったからだ。
とんだ呆けた男に俺もなったものだな。
自分の変化に驚きながらも、決してそれが悪いものではないとも感じている。
馬を走らせ、城に辿り着いたのは
俺がリオに約束した三日後では無く
二日後の夕刻
俺の姿を見つけた瞬間
花開く様に眩しい笑顔を浮かべ
喜ぶリオのその顔が早く見たくて
城の中を彼女の姿を探して歩く。
女中の話では、御館様から家康と共に
書物の整理を頼まれたらしい。
流行る気持ちを抑えつつ、驚かせてやろうと、気配を消して書庫へと急いだ
書庫の入り口まで差し掛かった時
二人の話し声が聞こえてきた
「あんたが萎れた花みたいになってるのって、光秀さんのせいでしょ?」
そう告げる家康の声、
俺の話か?