第47章 海水浴Another~家康、政宗、三成~
「ん?何か声の様な物が聞こえたが?」
井戸を覗き込みながら
呟く顕如
「お坊様、そこの井戸は海水を汲み上げる為にかなり深くなっております故、お気をつけ下さい。確か洞窟と繋がっておりましたので海鳴りでもお耳に入ったかと」
にこにことそう答える宿の主人
そうか、とだけ告げ、然程気にする様子もなく顕如は主人に向き直る
「この度は、商売繁盛のご祈祷、わざわざ有り難う御座いました」
深く頭を下げながら告げる主人に
「こちらが、本職だからな。たまにはこの様な場所に来るのも良い」
「え?」
不思議そうに見つめる主人の前で
ふっと目を細め笑うと
静かにその場を立ち去る顕如
逃げ出した四人も、顕如自身も
誰一人真実を知らないままに。