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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】



車が駅のロータリーに入ってすぐ。
スマホを片手にした梨央ちゃんの姿が見えた。

「あ、赤葦そこで停めて」

梨央ちゃんのそばに停まるのを待たずに、木兎は窓を開けて手を振る。

「ヘイヘーイ!梨央ちゃん!」

それに気づいた梨央ちゃんが、こっちに向かって微笑んだ。

「おはようございます、木兎さん」

「やだなー、梨央ちゃん。 "さん" 付けなんかしないでよ!敬語もいらねーし。友達だろ?」

「この前はお客様だったから、つい。じゃあ、木兎くん…ならいい?」

「オッケーオッケー!」

ハイテンションの木兎の相手をした後、梨央ちゃんは赤葦に声を掛けた。

「お迎えありがとうございます」

「いえ。後ろどうぞ?」

「はい」

俺は車のドアを開けて梨央ちゃんを迎え入れる。
デニムシャツと白いパンツが、彼女らしくてよく似合ってる。

「待たせてごめんな」

「ううん。私も着いたところだから」

俺の隣に座った途端、梨央ちゃんからふわっといい匂いがする。
香水じゃねぇな…たぶん、シャンプーの香りだ。
男四人だったむさ苦しい車内に、花が咲いたみたいだ。

俺とツッキー。約190センチの男が二人並んでた後部座席。
ただでさえ狭いのに、梨央ちゃんが座ると尚更密度は高くなる。

「チョット黒尾さん。あんまり密着されると気持ち悪いんですけど」

「好きでくっついてんじゃねぇっての」

「そっち狭かった?てっちゃん、もう少しこっち来る?」

「あー、わりぃ」

「 "てっちゃん" ?…フッ」

「ツッキー!今鼻で笑ったろ?」

「ハァ。顔に似合わない呼ばれ方してるなーと思って」

「ホント可愛くないね、お前」


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