• テキストサイズ

フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第1章 近くて遠い君 ※【黒尾鉄朗】



ちゃんと話したい。
俺が明日、梨央ちゃんちから帰るまでに。
そう思っていたら、寝る場所がベッドしかないとわかる。

梨央ちゃんと一緒に寝る……。

邪な考えがないとは言えねーけど、ある意味チャンスだ。


俺は、抱えていた疑惑を投げ掛けてみた。


彼氏との付き合いの中で、それは梨央ちゃんにも心当たりがあったようで…。
梨央ちゃんは声を上げて泣いた。


"自分の努力が足りない"
"女として出来が悪い"
そんな風に思ってたって。


そんなことあるかよ…!
まだ15歳で親の修羅場を目の当たりにして傷ついて、学校ではいじめられて。
それでも明るくて優しくて、夢も持ってて。
それを実現させて、人を笑顔にしてる。


梨央ちゃんが、自分のこと出来が悪い女だと思ってたなんて。
梨央ちゃんに、そんなこと思わせてたなんて。
なんだよ、その男…!
殴り飛ばしてやりたいくらい、腹が立つ。
怒りで涙が込み上げてくるなんて初めてで、自分でも驚いた。


傷ついた梨央ちゃんの体を抱き締めてやることしかできなくて。
「梨央ちゃんは何も悪くない」って、そんな当たり前のことしか言えなくて。
酷くもどかしかった。


涙が落ち着いてからも、俺は梨央ちゃんを腕に抱いたまま寄り添った。
布団の中で微睡んでいく間際。


「彼と、別れる…」


そう小さく、梨央ちゃんは呟いた。



/ 680ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp