第7章 君が唄うラブソング ※【月島蛍】
僕が奈々子さんにプレゼントしたのは、ガラス細工の緑のツリー。
ツヤのある赤とシルバーの小さなオーナメントは、取り外しできるようになっている。
パッと目を惹くような煌めいた雑貨。
クリスマスにワクワクしてた奈々子さんだから、きっと好きなんじゃないかと勝手に想像して選んだ。
あの汚部屋でも、片付ければ馴染みそうな気がするし…。
「わぁ、可愛い!キラキラしてる!」
奈々子さんは顔の前にそれを掲げ、陽に透かしながら弾む声を上げた。
よかった。喜んでくれたみたい。
一方、僕が開いたラッピングの中から現れたのは、木製の白いクリスマスツリー。
てっぺんを飾る星も埋め込まれたオーナメントも、マットなゴールド。
シンプルな二色使いが大人っぽい。
「どうかな?それ」
「いいね、オシャレ」
正直、お世辞とかは抜きだ。
ツリーって色とりどりのものばかり想像してたけど、こういうシックなものもあるんだ。
「蛍くんの部屋がどんな雰囲気かわかんなかったから、あんまり派手じゃないものを選んだの。落ち着いてて品のある感じが素敵だなって」
街中にあるような、華美なクリスマスツリーではない。
部屋の片隅に飾る程度の小さなものだけど、色も素材も違う二つのそれは、間違いなくお互いのことを思って贈りあったプレゼントだ。
「すっごく気に入った!ありがとう、蛍くん。この時季にしか飾らないなんてもったいないくらい。ツリーって、クリスマス過ぎても飾ってていいもの?」
「さあ…?いいんじゃない?奈々子さんが気にしないなら」
「うん、じゃあ飾っとく。いつも部屋に蛍くんがいるみたいで嬉しい」
テーブルの上に頬杖をついてまだそれを眺める様子は、何だか子どもみたいだ。
こんなに喜んでくれるなら、クリスマスも結構いいものかも……なんて、ゲンキンなことを思ってしまう。
それに素直で可愛い反応してくれる奈々子さんのこと、やっぱり……
「…ねえ。そのジャージ、大き過ぎだよね」
「え?うーん…でも袖と裾折ればイケるよ?あ、彼シャツみたいな感じで萌えない?」
「…和む。けど…」
首元まで上げられたファスナーに手を伸ばし、ジジジッと下ろす。
「けーくん…?なに…」
「脱いで」