第7章 君が唄うラブソング ※【月島蛍】
朝、カーテンを開けて気づく。
白い絨毯が朝日を反射しながら広がり、地面をうっすらと隠していることに。
結露した窓辺に立っていると足元から冷えが増していく気がして、僅かに身震いした。
「ちょっと積もったね」
「え、雪?」
僕の呟きを耳にした奈々子さんは、パタパタと隣にやってくる。
「初雪だねー!」
「だね」
初雪とは言っても、僕にしてみれば珍しくも何ともない光景。
早々に窓辺を離れ、シュッシュッと湯気を上げるケトルを持ち上げた。
キッチンで二人分のインスタントコーヒーを作り、またリビングへ戻る。
奈々子さんは、雪が被った景色をまだ窓越しにまじまじと眺めていた。
「寒いからこっち来れば?」
「うん」
夕べ僕が貸した、ブカブカのスポーツジャージ。
着ている、というより着られているその姿は、まるでマスコットみたいな、ゆるキャラみたいな。
内心和みつつ、二人でコタツに入り背中を丸くする。
「どうする?今日。出掛ける?」
「そうだね。このくらいなら電車も止まってないだろうし…、あ!そうだ蛍くん!私、もう我慢できない!」
「え、まさかシタイの?朝っぱらから」
「ちっがーう!もう、クールな顔してエッチなんだからぁ!」
「何喜んでんのさ…」
笑いながら僕の腕を叩く奈々子さんは、目を輝かせて身を乗り出してきた。
「昨日交換したプレゼントだよ!見ていい?」
お互い、家に着いたら開けようってことになってたクリスマスプレゼント。
確かに…奈々子さんが何をくれたのか、興味ある。
それに、僕のプレゼントを見てどんな反応をするのかも。
「いいよ、開けよっか」
二人別々の店で買った、色の違うラッピングのリボンをほどく。
プレゼントを開くのにワクワクする感覚…
もしかしたら、子どもの頃以来かもしれない。
「…クリスマスツリー?」
「うそ!?蛍くんも!?」