• テキストサイズ

フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第7章 君が唄うラブソング ※【月島蛍】



「ゴホッ…、速くない…?走るの…っ」


「はぁっ、陸上、短距離やってたから…っ、一応、都大会、入賞してる…」


なるほど…。って、何それ?聞いてないんだけど…
いや、それより…


「奈々子さん、ごめん…」


「…謝らなくていい」


「え…」


奈々子さんは、頑なに僕の顔を見てくれない。


「私とは…もう会えない?」


「何で…?」


「だって、さっき女の子の名前…」


「あれは、」


「デート…海に行きたいって言ったのはね、ちゃんと他に理由あるんだよ」


だんだん震えてくる、奈々子さんの声。
僕に腕を掴まれても、顔は背けたまま。


「…何?」


「自分一人じゃ、あんな遠くの海まで行かないから。普段よく行くような場所でデートしちゃったら、通る度に思い返して辛くなるでしょ…?」


「……」



「…蛍くんに、フラれた時」




遂には肩を震わせ、声が失われた。






そっと手を引く。
肩を掴み向かい合わせになってみれば、奈々子さんの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちていくのが見える。





あんなに前しか見てないような人が…
怖いものなんてないってくらい、いつでも想いをぶつけてきてくれた人が…


そんな風に、自分を守ってたなんて。


僕のせいで泣いてるなんて。






ああ…もうダメ…





完全に、落ちた…。






/ 680ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp