第7章 君が唄うラブソング ※【月島蛍】
駅の近くの居酒屋に開店と同時に入り、三人で食事をする。もちろん、アルコールも。
兄ちゃんはあんまりお酒に強くない上雰囲気でも酔える人だから、さっきから一番楽しそうだ。
テーブルの上の料理が綺麗になくなりそれぞれのグラスも空になったところで、財布を出した兄ちゃんが僕を指差し声高に言う。
「じゃあ、二件目はぁ~…蛍の家行っちゃおうっ!」
うん。だろうと思ったよ。
掃除しといて良かった。
「奈々子ちゃんも行くだろ?」
「蛍くんち?んー、でも…」
「来ないの?」
「え?」
躊躇う様子の奈々子さんに尋ねれば、驚いた顔をして僕を見る。
別に二人きりじゃないし、ただ飲みに来るってだけだし。
「行っていいのかなぁ…?」
何で疑問系?
「いいんじゃない?お酒好きでしょ?」
「家主がいいって言ってんだからいいんだよ。それにまだ二人には色々聞きたいことあるしー」
「聞きたいことですか?」
僕と奈々子さんの肩に腕を回して、ニヤリとする兄ちゃん。
「取り合えず会計してくるから!俺だけ置いてっちゃダメだよー!」
置いてけないデショ。
あんなに出来上がった兄ちゃん置き去りにしたら、オヤジ狩りに遇っちゃうかもしんないし。
居酒屋を出た僕たちは、電車で二駅の我が家へやってくる。
お酒は常時色々揃えてあるから、三人で飲むには十分だろう。
「お邪魔します」
「どーぞ」
寒いから早々に暖房で部屋を暖めて、尚且つコタツに下半身突っ込んで飲み始める。
「相変わらず綺麗にしてるなぁ。エロいDVDとかどこに隠してあんの?」
「兄ちゃんじゃないんだからそんなもんないし。昔ベッドの下に隠してたの、母さんに見つかったことあったよね」
「わぁーっ!!奈々子ちゃんの前でそういうこと言っちゃダメだろ!?」
「先に言い出したのそっちじゃん」
僕らのやり取りを見て、奈々子さんは声を上げて笑い出す。