第7章 君が唄うラブソング ※【月島蛍】
二人との約束が入ってる土曜日。
兄ちゃんが部屋に来るかもしれないから、午前中のうちにサッと掃除を済ませておく。
一人暮らしが長くなると、家事も慣れるものだ。
まあ、自炊はほとんどしないんだけど。
整えた部屋に鍵をかけ、向かう先は駅。
そういえば、来週はクリスマスか…。
クリスマスツリーやリースがそこら中に飾られてるし、ひとたび店に入れば必ず流れているクリスマスソング。
ほんと、この国は昔っからクリスマス商法に余念がないよね。
あ、でも奈々子さんは絶対クリスマス楽しみにしてそう。
パーティーとかプレゼントとか、張り切って準備しそう。
「ねぇ、蛍くん。クリスマスって、大人になってもワクワクしない?」
…ほらね?
「サンタさん何くれるかなー、って?」
「え?あ…、サンタさんね。そうだね、蛍くんちにも来るといいね!」
「冗談だし。僕がサンタさん信じてるキャラにするの止めてよね」
「何だ、信じてるのかと思ったー」
思わないでよ。どんだけ純粋な大人なのさ。
「ねぇ、今日プレゼント交換しない?」
「え、今日?」
「だってクリスマス気分味わいたいし。今からお互い別行動して選んで交換するの。家でプレゼント開くまで、ワクワクするでしょ?」
「あー、そういう…」
「あ、でもでも!せっかく蛍くんと会えたのに別行動なんて寂しいなぁ…」
「自分で言ったくせに…。じゃあ時間制限30分にしたら?」
「あ、それいい!あと値段も決めよっか。お友達プライスってことで、そうだなぁ…1000円までで!」
「え?1000円って。お菓子くらいしか買えなくない?」
「お菓子でも野菜でも良くない?楽しめればそれで」
「野菜…」
「じゃあ、食べたら早速選びに行こうね」
さっきよりテンションが高くなった奈々子さんは、残りのオムライスをあっという間に平らげた。