第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】
宣言どおり、"あと2回" 体を重ねた俺たち。
お互い仕事のあとということもあり、俺も汐里もすぐに眠りに落ちた。
二人で眠るには十分な広さとは言えない、セミダブルのベッド。
すぐそばにいたはずの温もりが離れていく気配を感じ、目が覚めてしまう。
冬の朝は、まだまだ暗い。
枕元の目覚まし時計を確認してみると、5時をまわったところ。
「どうした…?」
「あ、おはようございます」
「おはよう」
「朝ごはん、用意した方がいいかなぁって思って」
「朝飯…?」
別に俺は彼女に対してそういうことは求めていないし、こんな寒い朝なら尚更気遣いなどいらない。
現に汐里は、寒そうに腕を擦っている。
「いいよ、そんなことしなくて…。んん…、眠い…寒い…。こっちおいで…」
「京治さん…朝、苦手?」
「苦手。冬は特に。寒いもん…」
「"もん"!?カワイイィ…」
何だかよくわからない理由で汐里は声を弾ませた。
「汐里は朝から元気だね…」
「まあ、そうですね。弱くはないです。でも何か意外!早起きが京治さんの弱点なんだぁ。他には?苦手なもの」
「ん…何だろ…ニンジン、かな…。煮たやつ、特に…」
「えー…もう、子どもみたい。キュンとする…!」
まだボンヤリする意識では、汐里の声も右から左へとすり抜けていく。
お喋りの相手をしてあげたいのは山々なのだが、なんせ昨夜は羽目を外しすぎた。
体が休息を求めてる。
ベッドの端に腰掛けたままの汐里を引き寄せ、無理矢理腕の中に抱いた。
「あと2時間は眠れるから…。二度寝させて…」
「もちろん。でも、私がここいて眠れます?何ならリビングでテレビでも…」
「何で?ここにいてよ」
次に起きた時には、もう出勤のため別れなければならないのだ。
あと僅かな時間でも、眠りに落ちたとしても、抱き締めていたい。