第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】
すぐそばで香る、シャンプーの匂い。
冬の朝も悪くないと思える、汐里の人肌。
ホッと安らぎを覚えたところで、柔らかな体がすり寄ってくる。
「好き…、京治さん…」
腕の中にすっぽり収まってしまうような小さな体なのに、この子の存在は偉大だ。
「うん…、すき…だよ…」
いつも俺がするように、汐里が髪を撫でてくれる。
こんな風に甘やかされるのって、気持ちいいんだな…。
逆の立場になってみて、初めてわかった。
微睡みに浸っている間も、子どもにそうするみたいに髪の上を滑っていく、汐里の指。
たおやかな空気と慈しむような彼女の触れ方で、とてつもない安心感に包まれる。
これほどまでに心が満たされるのなら、今度はもっともっと、汐里を甘えさせてあげよう。
意識が遠のく間際、唇に柔らかいものが触れた。
「おやすみなさい、京治さん…」
微かなその声は、まるでフワリと舞い降りてくる羽根のようだ。
ああ…、あったかい…
何かこういうの、すげぇ幸せ…
次に起きた時に汐里が隣にいてくれると思うと、それもまた幸せだ。
やば…、もう、落ちそう…。
「おや…す…み…」
"三年分の大好き" をくれた、汐里。
お返しに、今度は俺から。
この先いつまでも、抱えきれないほどいっぱいの愛をあげるからね。
可愛くて、大切で、愛してやまない。
君は俺の、最愛の恋人。
【 end 】