第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】
簡単に開いたその先。
汐里が纏っているのは、ピンクのベビードール。
バスト部分の肌色は守られているが、みぞおち辺りからウエストにかけてはシースルー。
もしかして…と思い下も脱がすと、同色で布の面積の狭い下着が現れた。
しかも、両サイドは頼りない紐で結ばれているだけ…。
「エロ…。エッチなことされる気満々?」
「や、違うもん!京治さんに喜んで欲しかっただけ」
「買ったの?自分で?」
「うん…」
「俺のため?」
「そう…、だよ」
正直、こういうセクシーな下着に興味があるかと言われたら、そうでもない。
特別エロいランジェリーじゃなくても、まあ、別に普通ので…ってくらいだったのだが…。
「…いいね。似合う…」
汐里が身に付けているだけで、とんでもなくエロいものに見える。
「ほんと…?」
「うん。よく見せて。どうなってんの、これ」
シースルー部分を摘み上げながら素材をチェックしていると、体を捩った汐里が擽ったそうに唸る。
「や…、何かやっぱり恥ずかしい…」
「自分から着けてきたのに?」
「だって…光太郎さんたちが、京治さん、絶対喜んでくれるからって…」
は…?何…?
聞き捨てならない人の名前が出てきたんですけど。
まさか、あの人たちの入れ知恵?
「どういうこと?」
「バレンタインのこと、光太郎さんとテツさんに相談したんです。京治さんに喜んでもらえるもの、何かなって。そしたら…」
「何て言われたの?」
「"赤葦みたいなムッツリタイプは、絶対王道のエロが好きなはずだ!裸エプロンしろ!" って、まずテツさんが」
…そんな無茶な。
「光太郎さんは、"私がプレゼントよ♡って体にリボン巻き付けろ!" とか言い出して…」
そんな無茶な。(2回目)
しかも俺、木兎さんと同じ思考…ちょっと嫌だ…。
「無理に決まってる!って反論したら、"じゃあせめてエロい下着を着けてけ!" って…」
「ふーん。ムッツリねぇ」
「私じゃないよ!?言ったの…」
「わかってるけど、そんなこと相談してたの?あの二人に?何か妬けるなぁ」
俺の好みなら、俺に聞けばいいのに。
…って、きっとビックリさせたかったんだと思うし、汐里の気持ちもわかる。
何より、俺のためにしてくれたことなんだから素直に嬉しい。