第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】
甘い夜の始まり。
車の中で欲を押し殺したこともあり、今この瞬間ですら自分の中が色情にまみれていることがわかる。
「おいで」
「うん…」
オレンジ色の常夜灯だけを残し、汐里をベッドへ連れてくる。
風呂上がりのボディソープとシャンプーの匂い。
俺が毎日使っているものなのに、汐里から漂ってくるだけでこんなにも甘美に感じられるなんて…。
「いつも京治さんが寝てるベッド…だよね…」
「うん」
「何か、ドキドキする…」
内緒話でもするようにひっそり話す汐里が、妙に色っぽい。
向き合って座ったまま、ひとつ口づけた。
「ごめん、汐里」
「え?」
「俺今日、スゲェがっつくと思う…」
先に謝っておく。
今までにないくらい、俺の中が愛おしさで満ちている。
何かが振り切れてしまったみたいに、汐里が…、汐里だけが欲しい。
「いいよ。そんな京治さん、見てみたい…」
…また、そういうこと言う。
腹の底で疼いていた欲望は、もう爆ぜる寸前。
優しいキスから徐々に…なんて手順を踏んでる余裕はなさそうだ。
首筋に吸い付き、真っ先に俺の手が向かうのは柔らかくて豊かな胸。
手の平全体で、揉み上げていく。
そこで小さく息を吐いた汐里は、弱々しい力で俺を制した。
「待って、京治さん…」
「何で?」
耳の奥へ吐息を送り、「待て」なんて言えないように感じさせる。
「ゃ…、」
案の定声を上擦らせた汐里だったが、胸に当てたままの俺の手にそっと指を滑らせた。
「あの、ね…、バレンタインだから、もうひとつプレゼントあるの…」
「……何?」
「この、下…」
汐里の指さす先は、自分のパジャマ。
どういうこと?
まさか、体にリボンなんて巻きつけてないよな?
いや、それならそれで、また別の楽しみ方があるのか…?
期待が大半を占める中、ボタンに手を掛けた。
「脱がすよ?」
「はい…」