第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】
「そういえば。汐里ちゃん、赤葦くんと付き合い始めたんだよね?」
「え?あ…、はい…そうなんです」
人から改めて言われると、何だか気恥ずかしい。
テツさんと光太郎さんに報告した時は、喜んでくれたし、からかわれもした。
「どっちから告白したんだ?」とか、「赤葦、二人の時どんな感じ?」とか、「もうヤッちゃった!?」とか。
最後の質問は、もちろん光太郎さん。
京治さんに色々聞いてもきっと上手くスルーされるから、ターゲットが私になるんだろう。
話のネタにされてむず痒いような気もするけれど、バレンタインが近いということで二人があるアドバイスもくれて…。
何にしても、私たちのことを気に掛けてくれるのはありがたい。
目の前の梨央さんも、私が頷くのを見てただただ優しく微笑んでくれる。
「赤葦くんのチョコも買うの?」
「いえ。悩んだんですけど、やっぱり作ろうかなって。あ、梨央さん。初心者でも失敗しにくいお菓子って何かあります?」
不器用なのは自覚してるし、何よりお菓子作りのプロが目の前にいるのだ。
ここはぜひ、アドバイスをいただいちゃおう。
「トリュフは簡単にできるよねぇ…。あと、パウンドケーキかなぁ」
「パウンドケーキ?ほんとですか?」
「うん。混ぜて焼くだけなんだよ」
「 "だけ" って、それ梨央さんがプロだからじゃなくて?」
「ううん。私、子どもの頃にも作ってたから。本当に簡単だよ。メレンゲ作るわけでもないし」
「そうなんですか…。じゃあ、作ってみようかな」
「汐里ちゃんLINEやってる?あとでレシピ送るよ」
「わぁ、梨央さん直伝なら心強い!ありがとうございます!」
お互いの連絡先を交換したあと、二人でアレコレ話しつつ試食もして、目移りするほど沢山のチョコレートの中からひとつ選び、梨央さんとは別れた。