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フォンダン・ショコラ【ハイキュー!!】

第6章 マイ・スイートハート ※【赤葦京治 続編】



寒さもますます深まる、2月の半ば。
街中はハートの装飾で溢れ、デパートのお菓子売り場はいつ見ても女性客でひしめき合っている。


来週は、バレンタイン。


今年は、堂々と京治さんにプレゼントを渡せる。
"大好き" の気持ちを贈っても、誰にも迷惑をかけたりはしない。

たったそれだけのことが、ものすごく嬉しい。




賑わうその場所に足を踏み入れ、キョロキョロ視線をさ迷わせながらチョコレートを物色する。
海外の有名ブランドのものから、義理チョコに渡せそうなお値打ちのものまで。
見た目も可愛くて、どれも美味しそう。

確かにそれぞれ目を惹くんだけど…

やっぱり、手作りしようかな…。
買ったものでも、もちろん悪くはない。
だけど、京治さんのために私がそうしたい。

初心者でも作れそうなものをネットで調べて…
うん、そうしよう。

そうと決まれば、せっかくここまで足を運んだんだし。
自分用に何か買って帰ろうと、またショーケースに目を落とす。


「汐里ちゃん?」


ふと、名前を呼ばれた。
頭を上げたところには、スラッと背の高い涼しげな顔をした綺麗な人…。


「梨央さん!」


テツさんの彼女さんだ。

「久しぶりだねぇ」

「お久しぶりです。梨央さんもチョコレートを?」

「うん。てっちゃんのと、自分用」

「自分用!梨央さんもですか?私も今選んでたところなんです。でも意外。梨央さん、テツさんには手作りするのかと思ってました」

梨央さんはパティシエをしているから、要はお菓子作りのプロ。
ケーキだって何だって作れるはずなんだけど。

「うん、手作りも用意するんだけどね。でもこういう場所で選ぶのも楽しいでしょ?もう少し買っちゃおっかなぁ…」

そう言って、何だかソワソワしながら私が見ていたショーケースを覗き込む。



梨央さんは、綺麗なお姉さんって雰囲気の女の人。明るくて人当たりもいい。
でも大人っぽい反面、今みたいに目を輝かせている姿は可愛くもあって。

テツさんが好きになるの、わかる気がするなぁ…。

拗れたこともあったみたいだけど、二人が上手くいってて本当に良かった。


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